立ち上がるのがつらい、歩くのが遅くなった? 年とともに筋肉が減る理由と、自宅でできる対策
年齢を重ねるとともに、「立ち上がるのがおっくうになった」「歩くのが遅くなった気がする」「ちょっとしたことで疲れやすい」と感じることはありませんか?これは、年とともに体の筋肉が少しずつ減っていくことが一つの原因として考えられます。
ここでは、年とともに筋肉が減る理由や、それによって体にどんな影響があるのか、そしてご自宅でできる簡単な対策についてお話しします。
Q: なぜ年をとると体の筋肉は減るのですか?
A: 年齢とともに筋肉が減っていくのは、体の自然な変化の一つです。また、体をあまり動かさなくなると、筋肉はさらに早く減ってしまいます。
詳しい解説
私たちの体にある筋肉は、歳を重ねると自然と量が減っていく傾向があります。これは、特別な病気がなくても起こる、誰にでも起こりうる変化です。
加えて、体を動かす機会が減ると、使われない筋肉はさらに衰えやすくなります。たとえば、外出する機会が減ったり、家の中で座っている時間が長くなったりすると、足腰の筋肉などは使われる機会が減ってしまいます。このように、年齢による変化と、体を動かさないこと(運動不足)が合わさって、筋肉は減っていきやすいのです。
Q: 筋肉が減ると体にどんな影響がありますか?
A: 筋肉が減ると、体を動かすことが億劫になったり、疲れやすくなったりします。立ち上がりや歩行が不安定になり、転びやすくなることもあります。
詳しい解説
筋肉は、体を支えたり、動かしたりするためにとても大切です。筋肉が減って力が弱くなると、次のようなことが起こりやすくなります。
- 立ち上がりがつらい: 椅子やふとんから立ち上がる時に、手すりが必要になったり、時間がかかったりします。
- 歩くのが遅くなる、不安定になる: 一歩の幅が狭くなったり、速く歩けなくなったりします。バランスを崩しやすくなることもあります。
- 疲れやすくなる: 少し歩いたり、家事をしたりするだけで、すぐに疲れてしまいます。
- 転びやすくなる: 筋肉で体を支える力が弱くなるため、つまずいたり、バランスを崩したりした時に、立て直すことが難しくなります。
- 活動が減る: 体を動かすのが大変になるため、外出や趣味、友人との交流などが減ってしまうことがあります。
このように、筋肉の減少は、日常生活のさまざまな場面に影響を及ぼす可能性があります。
Q: 筋肉を減らさないために、家でできることはありますか?
A: 筋肉を保つ、あるいは少しでも増やすためには、「体を動かすこと(運動)」と「バランスの取れた食事」が大切です。ご自宅でできる簡単な対策があります。
詳しい解説
1. 体を動かすこと(運動)
特別な道具や場所がなくても、ご自宅で簡単にできる運動があります。無理のない範囲で、毎日少しずつ行うことが大切です。
- 椅子立ち座り:
- 安定した椅子に座ります。
- 手を使わずに、ゆっくりと立ち上がります。
- ゆっくりと座ります。
- これを5回から10回繰り返します。慣れてきたら回数を増やしてみましょう。
- ポイント: 転ばないように、近くに手すりになるものがあると安心です。
- 足踏み:
- その場で、ももを高く上げるように足踏みをします。
- バランスが心配な場合は、壁や机に手をついて行いましょう。
- テレビを見ながらなど、「ながら」で行うのも良いでしょう。
- かかと上げ:
- 立った姿勢で、壁などに手をついて体を支えます。
- ゆっくりと両方のかかとを上げ、つま先立ちになります。
- ゆっくりとかかとを下ろします。
- これを5回から10回繰り返します。
- ポイント: バランスを崩さないように注意しましょう。
これらの運動は、テレビを見ながらや、休憩時間に少し行うなど、日々の生活に取り入れやすいものです。一度にたくさんやるよりも、毎日続けることが効果的です。
2. バランスの取れた食事
筋肉を作るためには、「タンパク質」という栄養素が特に大切です。毎日の食事で、タンパク質をしっかり摂ることを心がけましょう。
- タンパク質を多く含む食品の例:
- 魚(焼き魚、煮魚など)
- 肉(鶏肉、豚肉、牛肉など)
- 卵
- 豆腐や納豆などの大豆製品
- 牛乳やヨーグルト、チーズなどの乳製品
- 食事で工夫できること:
- 毎食、これらの食品の中から1品か2品を取り入れるように意識してみましょう。
- 例えば、朝食に納豆や卵焼き、昼食に魚料理、夕食に肉料理と豆腐のお味噌汁、おやつにヨーグルトなどです。
- 食が細い場合は、一度にたくさん食べず、間食などでタンパク質を含む食品をプラスするのも良い方法です。
運動と食事の両方から筋肉へのアプローチを行うことが、効果的と考えられています。
Q: 運動や食事で注意することはありますか?
A: ご自身の体調に合わせて無理なく行うことが大切です。痛みがある時や体調が悪い時は休みましょう。食事も、バランスを考えて偏らないようにすることが重要です。
詳しい解説
運動を始める際は、まず軽いものから始め、少しずつ時間や回数を増やしていくようにしましょう。筋肉痛がひどい時や、関節に痛みを感じる時は、無理をせず休息をとってください。運動中に少しでも体調に異変を感じたら、すぐに中止することも大切です。水分をしっかりと摂ることも忘れないでください。
食事については、タンパク質だけでなく、炭水化物や野菜など、様々な食品をバランス良く摂ることが健康維持には欠かせません。特定の食品だけをたくさん食べるのではなく、彩り豊かないろいろな食品を組み合わせるように心がけましょう。
もし、ご自身の体調や、どんな運動をすれば良いか、食事は足りているかなど、不安なことや疑問がある場合は、かかりつけの医師や栄養士、地域の相談窓口などに相談してみることをお勧めします。専門家からのアドバイスは、ご自身の状況に合わせてより具体的な対策を考える上で役立ちます。
まとめ
年とともに筋肉が減るのは自然な変化ですが、運動と食事でそのスピードを緩やかにしたり、今ある筋肉を保ったりすることは十分に可能です。
日々の生活に少し運動を取り入れたり、食事の内容を意識したりすることで、立つ、歩くといった日常の動作が楽になり、活動的な毎日を送ることにつながります。
もし、体の動きにくさや痛みが続く場合、またはご自身の体調に不安がある場合は、自己判断せずに、必ず一度、専門医に相談してください。医師は、現在の体の状態を詳しく調べ、適切なアドバイスや治療法を提案してくれます。
この情報が、皆さんの健やかな毎日の一助となれば幸いです。