シニアの便秘、どうして?毎日の生活でできる対策
シニア世代になると、「若い頃よりお腹の調子がどうも違う」と感じる方が増えるかもしれません。便秘は、実はシニア世代に多く見られる体の変化の一つです。
なぜ便秘になりやすいのか、どんな状態が便秘なのか、そして毎日の生活の中でできる対策について、分かりやすくお話しします。
Q1:なぜ年を取ると便秘になりやすいのですか?
A1:体の動きや腸の働きが変わるためです。
年を重ねると、私たちの体には様々な変化が起こります。それが原因で、便秘になりやすくなることがあります。
詳しい解説
便秘になりやすくなる主な理由をいくつかご紹介します。
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腸の動きがゆっくりになる 食べ物を消化し、便を体の外へ出すためには、腸が波打つように動く必要があります。この動きを「ぜんどう運動」といいます。しかし、年を取ると、このぜんどう運動が弱まる傾向があります。そのため、便が腸の中をゆっくりとしか進まなくなり、便秘につながることがあります。
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お腹まわりの筋力が落ちる 便を体の外に出すときには、お腹まわりの筋肉を使います。腹筋などの力が弱まると、便を押し出す力が足りなくなり、出にくくなることがあります。
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食事の量や水分が減る 食べる量が減ったり、喉の渇きを感じにくくなって水分をあまり摂らなくなったりすることも、便秘の原因になります。食べ物のカスや水分が少ないと、便の量が少なくなり、固くなりやすいためです。
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飲む薬の影響 シニア世代の方は、病気の治療のために様々な薬を飲んでいることがあります。薬の中には、副作用として腸の動きを抑えたり、便を固くしたりするものがあります。
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生活習慣の変化 活動量が減って座っている時間が増えたり、トイレに行くタイミングを逃したりすることも、便秘に関係することがあります。
これらの変化がいくつか重なることで、便秘を感じやすくなるのです。
Q2:どんな状態が便秘ですか?
A2:毎日出ていなくても、苦痛がなければ心配ない場合もあります。
「毎日お通じがないと便秘だ」と思われがちですが、実は少し違います。大切なのは、排便の回数だけでなく、便の状態や、排便の時に感じる苦痛があるかどうかです。
詳しい解説
一般的に、便秘とは次のような状態を指しますことが多いです。
- 何日も排便がない
- 便がコロコロと固くて出しにくい
- 出すときにとても力が必要
- お腹が張って苦しい、痛い
- 便が出てもすっきりしない
たとえ毎日お通じがなくても、週に数回しっかりした便が出て、お腹の張りや苦痛がない場合は、特に心配ないこともあります。便通のペースは人によって違うため、以前と比べてどうか、という視点も大切です。
Q3:便秘を和らげるために、自分でできることはありますか?
A3:食事、水分、軽い運動が大切です。
病院に行く前に、毎日の生活の中で試せる簡単な対策がいくつかあります。すぐに全てを始めるのが難しくても、できることから一つずつ試してみてください。
詳しい解説
便秘対策として、ご家庭でできる具体的な方法をご紹介します。
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食事の工夫
- 食物繊維を摂る: 食物繊維は、便の材料になったり、腸の中をきれいにしてくれたりします。野菜(ごぼう、ブロッコリー)、果物(バナナ、りんご)、きのこ類(しいたけ、しめじ)、海藻類(わかめ、ひじき)、豆類(納豆、豆腐)などを食事に取り入れてみましょう。
- 発酵食品を摂る: ヨーグルトや味噌、漬物などの発酵食品は、お腹の中の良い菌を増やすのを助けると言われています。
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こまめな水分補給 水分が足りないと、便が固くなってしまいます。一度にたくさん飲むよりも、お茶やお水を少しずつ、時間を決めて飲むようにすると良いでしょう。朝起きたときにコップ一杯の水を飲むのもおすすめです。
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軽い運動や体操 体を動かすことは、腸の動きを良くする助けになります。無理のない範囲で、毎日少しでも体を動かす習慣をつけましょう。
- 散歩:家の周りを歩くだけでも効果があります。
- 簡単な体操:手足を動かしたり、体をひねったりする体操。
- お腹のマッサージ:お腹を優しくなでるのも良いでしょう。
- あお向けに寝るか、楽な姿勢で座ります。
- おへその周りを、「の」の字を書くように、手のひらで優しくさすります。
- 痛みを感じない程度の軽い力で行います。
- ゆっくりと、数分間続けます。
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規則正しい生活と排便習慣 毎日同じ時間に食事をしたり、寝たり起きたりすることで、体のリズムが整いやすくなります。特に、朝食の後など、決まった時間にトイレに行く習慣をつけることは大切です。便意を感じたら我慢しないようにしましょう。
Q4:どんな時に病院に行った方が良いですか?
A4:いつもと違う、ひどい痛みがある、血が混じるなどの場合は医師に相談してください。
ご紹介した対策を試しても便秘が改善しない場合や、普段とは違う症状がある場合は、一度専門医に相談することが大切です。
詳しい解説
次のような症状がある場合は、自分で判断せず、お医者さんに診てもらうことをおすすめします。
- 便秘が急に始まった、またはひどくなった
- お腹がひどく痛む、お腹がパンパンに張っている
- 熱がある
- 吐き気がしたり、実際に吐いてしまったりする
- 便に血が混じっている、便の色が黒っぽい
- 体重が減ってきた
- 下痢と便秘を繰り返す
これらの症状は、便秘以外の病気が原因で起こっている可能性もあります。早めにお医者さんに相談することで、適切な診断と治療を受けることができます。
まとめ
シニア世代の便秘は、体の変化によって起こりやすいものですが、毎日の生活の工夫で和らげることができる場合も多くあります。食事のバランス、十分な水分、そして無理のない運動を取り入れてみてください。
もし、ご紹介した対策を試しても改善が見られない場合や、いつもと違う症状がある場合は、自己判断せずに必ず専門医に相談してください。ご自身の体の声に耳を傾けながら、健やかな毎日を過ごしましょう。