ぐるぐる目が回る? シニアのめまい、原因と対処法
シニアのめまいについて
年を重ねると、時々めまいを感じることがあります。 「体がふらつく」「天井がぐるぐる回るように感じる」「乗り物に乗ったときのようにふわふわする」など、めまいの感じ方は人によってさまざまです。
めまいは、一時的なものから体の不調のサインまで、色々な原因が考えられます。 今回は、シニアの方に起こりやすいめまいの原因や、めまいが起きたときの対処法、そして日頃からできる予防についてお話しします。
Q1:めまいって、どうして起こるのですか?
A:原因はいくつか考えられます。
めまいは、体の平衡感覚(バランスをとる能力)に関わる部分の調子が悪くなることで起こることが多いです。平衡感覚は、主に耳の奥にある「三半規管(さんはんきかん)」という場所と、脳が協力して保っています。
詳しい解説
めまいの主な原因は、大きく分けて次のようなものが考えられます。
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耳の奥の問題:
- 耳の奥には、体の傾きや動きを感じ取る大切な部分があります。
- ここに小さな石(耳石)が剥がれて迷い込んだり、水ぶくれのようなものができたり(メニエール病という病気の一つ)、炎症が起きたりすると、バランスがうまくとれなくなり、めまいが起こることがあります。
- これはシニアの方のめまいの原因として比較的多いものです。
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脳の問題:
- 脳は、耳からの情報や体からの情報を受け取って、体のバランスを最終的に調整する司令塔のような役割をしています。
- 脳に血液がいきにくくなる(脳梗塞の前触れなど)や、脳の病気でもめまいが起こることがあります。この場合、めまいの他にも手足のしびれやろれつが回らないなどの症状が出ることがあります。
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血圧の問題:
- 立ち上がったときに血圧が急に下がる(起立性低血圧)と、脳に送られる血液が一時的に減り、めまいや立ちくらみが起こることがあります。
- 高血圧や低血圧など、血圧が不安定なときにもめまいが起こりやすいことがあります。
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その他の原因:
- 疲れがたまっているときや、睡眠不足のとき。
- 強いストレスを感じているとき。
- 飲んでいる薬の副作用。
- 首や肩のこり。
- 貧血。
このように、めまいの原因は一つだけではなく、色々な可能性が考えられます。
Q2:どんなときに病院に行った方がいいですか?
A:こんな症状があるときは、すぐに医師に相談しましょう。
多くのめまいは耳の問題などによるものですが、中には脳の病気など、早く治療が必要な場合もあります。特に次のような症状がめまいに伴って現れたときは、ためらわずに医師の診察を受けてください。
- 突然、今まで経験したことのないような激しいめまいが起きた
- めまいと一緒に、次のような症状がある
- 手足の力が入りにくい、しびれる
- 顔の片側が動きにくい
- ろれつが回らない、言葉が出にくい
- 物が二重に見える
- 意識がもうろうとする、意識を失った
- 激しい頭痛
- まっすぐ歩けない、立てない
これらの症状は、脳に関わる病気のサインである可能性も考えられます。様子を見ずに、救急車を呼ぶなど、すぐに医療機関を受診してください。
また、緊急性の高い症状がなくても、次のような場合は一度医師に相談することをお勧めします。
- めまいが繰り返し起こる
- めまいが長く続いている
- めまいのために日常生活に支障が出ている
- めまいの他に、耳鳴りや聞こえにくさを伴う
何科を受診すれば良いか分からない場合は、まずはかかりつけ医に相談するか、耳鼻咽喉科や脳神経内科、または内科を受診すると良いでしょう。
Q3:めまいが起きたとき、自分でできることはありますか?
A:落ち着いて体を休めることが大切です。
めまいが起きたときは、転んで怪我をしないように注意が必要です。安全な場所で落ち着いて体を休めましょう。
詳しい対処法
めまいが起きたら、次のことを試してみてください。
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安全な場所で休む:
- 座るか、可能なら横になってください。
- 無理に動くと、めまいがひどくなったり転んだりすることがあります。
- しばらく安静にして、体の揺れや回転がおさまるのを待ちましょう。
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頭や体を無理に動かさない:
- 急に顔を上げたり、体をねじったりすると、めまいが悪化することがあります。
- 静かにしているのが一番です。
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静かで落ち着ける環境を作る:
- 明るすぎる場所や、うるさい場所は避けて、静かな場所で休みましょう。
- 目を閉じると落ち着くこともあります。
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水分を摂る:
- 脱水もめまいの原因になることがあります。
- 一口ずつでも良いので、水やお茶などを飲んでみましょう。
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ゆっくりと深呼吸をする:
- 焦らず、ゆっくりと息を吸って吐いてみましょう。
- 気持ちが落ち着き、体の緊張が和らぎます。
めまいが治まってきたら、急に立ち上がらず、ゆっくりと体を起こして、少し座ってから立ち上がるようにしてください。
Q4:めまいを予防するために、普段からできることはありますか?
A:生活習慣を見直すことが予防につながります。
めまいが起きやすい人は、日頃の生活習慣に気をつけることで、予防につながることがあります。
詳しい予防策
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十分な睡眠と休息:
- 体の疲れや睡眠不足はめまいの原因になります。
- 毎日同じくらいの時間に寝起きするなど、規則正しい生活を心がけましょう。
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バランスの良い食事:
- 特定の栄養素の不足がめまいに関わることもあります(例: 貧血)。
- 偏りのない食事を摂り、特に水分は意識してしっかり摂りましょう。
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無理のない運動:
- 軽い運動は全身の血行を良くし、体のバランス能力を保つのに役立ちます。
- 散歩やラジオ体操など、無理のない範囲で体を動かす習慣を持ちましょう。
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ストレスをためない工夫:
- ストレスは体の様々な不調につながります。
- 趣味の時間を持つ、友人と話すなど、自分なりの方法で気分転換をしましょう。
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急な体の動きを避ける:
- 急に立ち上がったり、急に首を回したりするとめまいが起こりやすいことがあります。
- ゆっくりとした動作を心がけましょう。
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飲んでいる薬について確認する:
- 現在服用している薬がめまいの原因になっている可能性もあります。
- 気になる場合は、医師や薬剤師に相談してください。
これらの予防策は、めまいの予防だけでなく、体全体の健康維持にも役立ちます。
まとめ
めまいはシニアの方によく見られる症状で、その原因は耳の問題から脳の問題、血圧、ストレスなど多岐にわたります。
めまいが起きた際は、まずは落ち着いて安全な場所で体を休めることが大切です。そして、めまいに加えて手足のしびれやろれつが回らないなどの緊急性の高い症状がある場合は、すぐに医療機関を受診してください。
繰り返しめまいが起きる場合や、原因が分からない場合は、一人で悩まず、必ず医師に相談しましょう。医師に相談することで、適切な診断とアドバイスを受けることができます。
日頃から十分な休息を取り、バランスの良い食事を心がけ、適度な運動を行うなど、健康的な生活を送ることが、めまいの予防にもつながります。