いつも手足が冷たいと感じる? シニアの体の冷え、原因と自分でできる対策
シニアの体と心の健康相談室です。
シニア世代の方の中には、「手足が冷えてつらい」「いつも体の芯が冷たい気がする」と感じている方もいらっしゃるかもしれません。体の冷えは、毎日の生活の質にも関わってきます。
今回は、シニア世代に起こりやすい体の冷えについて、その原因と、ご自宅でもできる対策をご紹介します。
Q1. なぜ、シニアになると手足が冷えやすくなるのですか?
A. いくつかの原因が考えられます。
シニア世代の手足の冷えには、加齢による体の変化が関係していることが多いです。主な原因としては、体の血の巡り(血行)が悪くなることや、体の熱を作る筋肉が減ることなどが挙げられます。
詳しい解説
手足が冷えるのは、体のすみずみまで暖かい血液が十分に届きにくくなるためです。シニア世代になると、以下のような理由で血行が悪くなったり、体で作られる熱が少なくなったりすることがあります。
- 血管が硬くなる: 年齢を重ねると、血管が少しずつ硬くなったり、細くなったりすることがあります。すると、血液が流れにくくなり、特に体の先にある手足まで温かい血液が届きにくくなります。
- 筋肉が減る: 筋肉は、体を動かすだけでなく、熱を作り出す大切な働きもしています。シニア世代になると、筋肉の量が自然と減ってくるため、体全体で熱を作り出す力が弱まることがあります。
- 自律神経の働き: 体温を調節する自律神経のバランスが乱れると、血管が必要以上に縮こまってしまい、手足の血行が悪くなることがあります。
これらの原因が重なり合うことで、手足が冷えやすく、温まりにくい状態になることがあります。
Q2. 冷えを改善するために、家でできることはありますか?
A. 体を温めたり、血行を良くしたりする工夫を試してみましょう。
毎日の生活の中で、体を温めること、そして体の血の巡りを良くすることを意識すると良いでしょう。すぐに試せる対策がいくつかあります。
詳しい解説
ご自宅でできる冷え対策には、以下のようなものがあります。無理のない範囲で、できることから取り入れてみてください。
1. 体を温める服装や環境の工夫
- 重ね着をする: 薄手のものを重ね着すると、空気の層ができて暖かさを保ちやすいです。特に首、手首、足首など、「首」とつく部分を温めると体全体が温まりやすいと言われます。
- 靴下やレッグウォーマー: 足元は特に冷えやすいので、室内でも暖かい靴下やレッグウォーマーを活用しましょう。ただし、きつすぎるものはかえって血行を妨げる可能性があるので注意してください。
- 室温を適切に: 部屋全体を暖かく保つことも大切です。ただし、暖房で空気が乾燥しすぎないように注意しましょう。
2. 入浴で体を芯から温める
- 湯船にゆっくり浸かる: シャワーだけで済ませず、少しぬるめ(38℃~40℃くらい)のお湯に10分~15分ほどゆっくり浸かると、体の芯まで温まり、血行が良くなります。
- 足湯: 全身浴が難しい場合は、洗面器などにお湯を張り、くるぶしから下を浸ける足湯でも効果があります。テレビを見ながらなど、手軽にできます。
3. 軽い運動やストレッチ
- ウォーキング: 無理のない範囲でウォーキングなどの軽い運動を続けると、足の筋肉が動き、血行が促進されます。
- 座ってできる体操: 椅子に座ったままでも、足首を回したり、つま先を上げ下げしたりする運動は、足先の血行改善に役立ちます。手も、指をグーパーしたり、手首を回したりするだけでも違います。
- ストレッチ: 体をゆっくり伸ばすストレッチは、筋肉の緊張を和らげ、血行を良くする効果が期待できます。
4. 食事の工夫
- 体を温める食材: ショウガ、ネギ、ニンニクなどの香味野菜や、根菜類(大根、ニンジン、ゴボウなど)は、体を温めると言われています。鍋物やスープなど、温かい料理で摂るのがおすすめです。
- バランスの良い食事: 体を作る栄養素をしっかり摂ることも大切です。特にタンパク質は筋肉の維持に役立ちます。3食きちんと、色々な食材をバランス良く食べましょう。
- 温かい飲み物: 冷たい飲み物ばかりでなく、お茶やスープなど、温かい飲み物で水分を摂りましょう。
Q3. 冷えを放置しても大丈夫ですか? どんな時に病院に行くべきですか?
A. 冷えは体の不調につながることもあります。また、病気が原因の場合もあるので、続く場合は専門医に相談することが大切です。
単なる体質だと思われがちな冷えですが、放置すると肩こりや腰痛、疲れやすさなど、他の体の不調につながることもあります。また、冷えが病気のサインである可能性もゼロではありません。
詳しい解説
いつもの冷えと違うと感じたり、冷え以外の症状(手足のしびれ、皮膚の色がおかしい、むくみがひどいなど)があったりする場合は、一度専門医に相談することをおすすめします。
冷えの背景に、以下のような病気が隠れている可能性も考えられます。
- 甲状腺の病気: 体の新陳代謝を調整する甲状腺ホルモンの働きが低下すると、体が冷えやすくなることがあります。
- 血管の病気: 手足の血管が詰まったり、細くなったりする病気(閉塞性動脈硬化症など)も、冷えやしびれの原因になることがあります。
- 神経の病気: 手足の感覚をつかさどる神経に問題があると、冷えや痛みの感覚異常が出ることがあります。
これらの病気は、早期に発見して適切な治療を始めることが大切です。自己判断せずに、気になる症状がある場合は、かかりつけ医や専門医(内科、循環器内科など)に相談してください。
まとめ
手足の冷えは、シニア世代によく見られる体のサインです。まずは、今回ご紹介した服装、入浴、軽い運動、食事などの工夫を試してみてください。毎日の生活の中で体を温め、血行を良くすることを意識することが大切です。
ただし、冷えがあまりにも辛い場合や、他の気になる症状を伴う場合は、遠慮なく専門医に相談してください。体の状態をきちんと調べてもらうことで、安心して毎日を過ごすことができるでしょう。
※この記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の症状に対する診断や治療法を示すものではありません。特定の症状がある場合は、必ず専門医にご相談ください。