膝が痛いのはなぜ? シニアの膝の痛み、原因と自分でできる対策
シニアの膝の痛み、原因と自分でできる対策
膝の痛みは、立ち上がる時や歩く時など、日常生活のさまざまな場面で起こりやすい症状です。特にシニア世代になると、膝の痛みに悩まされる方が増えてきます。
この記事では、シニア世代に多い膝の痛みの原因や、ご自宅でできる対策、生活の工夫、そして医療機関を受診する目安について、Q&A形式で分かりやすく解説します。
Q1: 膝が痛いのはどうしてですか?
A1: 膝の痛みの主な原因は、加齢に伴う膝の関節の変化などが考えられます。
詳しい解説
膝の関節は、太ももの骨とすねの骨をつなぐ大切な部分です。これらの骨の端は「軟骨(なんこつ)」というクッション材で覆われています。軟骨は、関節がスムーズに動くのを助けたり、歩いたり走ったりするときの衝撃を吸収したりする役割があります。
年齢を重ねると、この軟骨がだんだんすり減ってきたり、傷んできたりすることがあります。軟骨が傷むと、骨と骨がこすれやすくなり、炎症(えんしょう)を起こして痛みが出たり、動きが悪くなったりします。これが、シニア世代に多い膝の痛みの主な原因の一つです。「変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)」と呼ばれる状態です。
また、体重が増えると膝にかかる負担が大きくなり、痛みが出やすくなります。若い頃のけが(半月板やじん帯の損傷など)が、後になって痛みの原因になることもあります。
Q2: 膝の痛みを和らげるにはどうすれば良いですか?
A2: 痛みが強いときは無理せず休むことや、状態に合わせて膝を冷やしたり温めたりすることが役立つ場合があります。
詳しい解説
膝が痛むときの対処法はいくつかあります。
- 安静にする 痛みが強いときは、無理に動かさず、しばらく座ったり横になったりして膝を休ませましょう。
- 冷やすか温めるか
- 冷やす(アイシング): 階段をたくさん上り下りした後や、運動した後など、使いすぎで膝に熱を持っている感じや腫れがある場合は、冷やすと楽になることがあります。氷を入れた袋などを、タオル越しに痛い部分に当てます。一度に冷やすのは10分から15分程度が良いでしょう。
- 温める: 慢性的にじんわりと痛む場合や、朝起きた時にこわばりがある場合は、温めると痛みが和らぐことがあります。お風呂で膝を温めたり、温かいタオルやカイロ(やけどに注意して)を使ったりします。 どちらが良いかは、膝の状態や痛みの種類によって変わることがあります。迷う場合は専門家に相談してください。
- サポーターを使う 薬局などで売っている膝用のサポーターは、膝を安定させて動きを助け、痛みを和らげるのに役立つことがあります。ただし、どんなサポーターが良いかは膝の状態によりますので、薬剤師さんや専門家に相談して選ぶと良いでしょう。
Q3: 膝に負担をかけない生活の工夫はありますか?
A3: 日常生活の中で膝への負担を減らす工夫をすると、痛みの軽減につながることがあります。
詳しい解説
膝への負担を減らすための具体的な工夫をいくつかご紹介します。
- 体重を管理する 体重が増えると、歩くだけでも膝には大きな負担がかかります。少しでも体重を減らすことは、膝への負担を軽くするためにとても大切です。バランスの良い食事を心がけたり、無理のない範囲で体を動かしたりしてみましょう。
- 杖(つえ)を使う 歩く時に杖を使うと、膝にかかる体重を分散させることができます。痛い方の足と反対側の手に杖を持って使うのが一般的です。適切な長さの杖を選ぶことも大切です。
- 椅子やベッドを使う 床に直接座ったり立ったりするのは、膝に大きな負担をかけます。できるだけ椅子に座ったり、ベッドを使ったりするようにしましょう。
- 和式トイレよりも洋式トイレを使う 和式トイレは膝を深く曲げるため、負担が大きいです。洋式トイレを使うようにしましょう。
- 階段の利用を減らす 階段の上り下りは膝に大きな負担をかけます。エレベーターやエスカレーターを積極的に利用したり、手すりを使って上り下りしたりしましょう。
Q4: 膝のためにできる簡単な運動はありますか?
A4: 膝の周りの筋肉を強くすることは、膝を安定させて痛みを和らげるのに役立ちます。無理のない範囲で運動を取り入れてみましょう。
詳しい解説
膝の関節は、周りの筋肉(特に太ももの筋肉)に支えられています。筋肉を適度に鍛えることで、膝への負担を減らすことができます。ここでは、座ったままでもできる簡単な運動をご紹介します。
運動を始める前に、必ず無理のない範囲で行ってください。もし運動中に痛みを感じたら、すぐに中止してください。
- 太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)を鍛える運動
- 椅子に深く座ります。
- 片方の足の膝をゆっくりと伸ばし、床からかかとを上げます。
- 膝を伸ばしたまま、太ももの前側に力を入れて5秒から10秒数えます。
- ゆっくりと足を下ろします。
- これを10回程度繰り返します。反対の足も同じように行います。 もし辛ければ、かかとを床につけたままでも構いません。
- 太ももの後ろ側の筋肉(ハムストリングス)を鍛える運動
- 椅子に座ります。
- 片方の足のかかとを床につけたまま、膝を少しだけ曲げた状態にします。
- 太ももの後ろ側に力を入れるイメージで、かかとで床を押すようにします。
- 5秒から10秒力を入れたら、力を抜きます。
- これを10回程度繰り返します。反対の足も同じように行います。
これらの運動は、毎日続けることが大切です。最初は回数を少なく始めて、慣れてきたら少しずつ増やしても良いでしょう。
Q5: どんな時に病院に行った方が良いですか?
A5: 痛みがひどい、長く続く、腫れや熱がある、歩くのが辛いなどの場合は、一度お医者さんに相談することが大切です。
詳しい解説
ご自宅でできる対策や生活の工夫を試しても痛みが改善しない場合や、次のような症状がある場合は、専門医(主に整形外科)に相談することをお勧めします。
- 痛みがだんだん強くなってきた
- 痛みが何週間も続いている
- 膝が腫れている、または触ると熱く感じる
- 膝の形が変わってきたように見える
- 膝が完全に伸ばせない、または曲げられない
- 歩くのがとても辛い、または歩けなくなった
- 突然、膝に力が入らなくなり、崩れ落ちそうになることがある
これらの症状がある場合は、専門医に診てもらうことで、痛みの原因を正確に診断してもらい、適切な治療法(薬、リハビリ、注射、手術など)についてアドバイスを受けることができます。早めに相談することで、症状が悪化するのを防いだり、痛みを早く和らげたりすることにつながります。
まとめ
シニア世代の膝の痛みは、多くの場合、加齢による軟骨の変化などが関係しています。日々の生活の中で膝に負担をかけない工夫をしたり、無理のない範囲で膝周りの筋肉を動かしたりすることは、痛みの軽減や予防につながります。
しかし、痛みが強い場合や、長く続く場合、他の気になる症状がある場合は、自己判断せずに必ず専門医に相談してください。専門家のアドバイスを受けながら、ご自身の膝と長く付き合っていく方法を見つけていくことが大切です。