夜中に何度もトイレに起きる? シニアの頻尿・夜間頻尿、原因と対策
シニア世代になると、「トイレに行く回数が増えた」「夜中に何度もトイレで目が覚める」といったお悩みを聞くことが多くなります。これらは、頻尿や夜間頻尿と呼ばれる状態かもしれません。
どうしてこのようなことが起きるのでしょうか。また、ご自宅でできる対策はあるのでしょうか。今回は、シニア世代によくある頻尿や夜間頻尿についてお答えします。
Q1: 頻尿や夜間頻尿とは、どんな状態ですか?
A1: トイレに行く回数が多くなる状態です。
詳しい解説
頻尿とは、一般的に朝起きてから夜寝るまでの間に、トイレに行く回数が8回以上になる状態を指します。ただし、水分をたくさん取った日などは回数が増えることもありますので、回数だけでなく、「トイレが近くて困る」と感じる場合に頻尿といえます。
夜間頻尿は、夜寝ている間にトイレに行きたくなり、一度目が覚めてしまう状態が続くことをいいます。夜間に1回以上トイレで起きる場合に夜間頻尿とされます。特に、何度も起きることで睡眠が妨げられ、疲れやすくなるなど、生活に影響が出る場合に問題となります。
Q2: どうしてシニアになるとトイレが近くなるのですか?
A2: 年齢とともに体の機能が変わることが主な原因です。
詳しい解説
シニア世代で頻尿や夜間頻尿が起きやすくなるのには、いくつかの理由が考えられます。
- 膀胱の機能の変化
- 膀胱は尿をためておく袋ですが、年齢とともに弾力性がなくなり、一度にためられる尿の量が減ることがあります。
- また、尿意を感じてからトイレまで我慢する力も弱くなることがあります。
- 排尿に関わる筋肉の変化
- 骨盤の底にある筋肉(骨盤底筋)は、尿道を締める役割があります。この筋肉が弱くなると、尿を我慢しにくくなることがあります。
- 体の水分の変化
- シニア世代は、若い頃よりも体にためておける水分量が減る傾向があります。日中に取った水分が、夜になってから尿として出やすくなることがあります。
- 特定の病気や薬の影響
- 糖尿病、心臓病、腎臓病など、他の病気が原因で尿の量が増えたり、頻尿になったりすることがあります。
- 高血圧の薬など、一部の薬が尿を増やす作用を持つことがあります。
- 男性の場合は、前立腺が大きくなること(前立腺肥大症)が原因で、尿が出にくくなったり、逆に頻繁にトイレに行きたくなったりすることがあります。
- 女性の場合は、出産や加齢で骨盤底筋が弱くなることが原因の一つとなることがあります。
- 睡眠の質の変化
- 年齢とともに眠りが浅くなり、少しの尿意でも目が覚めやすくなることがあります。
これらの理由が一つだけでなく、いくつか重なって頻尿や夜間頻尿を引き起こしている場合もあります。
Q3: 夜中に何度も起きてしまうのは、どうすれば良いですか?
A3: 夜間の水分や寝る前の準備を工夫してみましょう。
詳しい解説
夜間頻尿を減らすために、ご家庭でできる工夫があります。
- 寝る前の水分摂取を控える
- 寝る2~3時間前から水分を摂りすぎないように注意しましょう。
- ただし、水分不足は別の体の不調を招きますので、日中はしっかり水分を摂ることが大切です。
- 特に、お茶やコーヒー、アルコールには尿を増やす働きがあるため、夕方以降は控えるのが良いでしょう。
- 夕方から足のむくみを減らす工夫をする
- 日中に足にたまった水分が、夜寝て体を横にした時に全身に回り、尿として出やすくなることがあります。
- 夕方以降に足を少し高くして休んだり、寝る前に足の軽いマッサージをしたりすることも役立つ場合があります。
- 寝る前にトイレに行く
- 布団に入る前に、必ずトイレに行きましょう。
- 寝室の環境を整える
- トイレまでの通路を安全にし、照明をつけるなど、夜中に起きても転ばないような準備をしておくと安心です。
Q4: 普段の生活でできることはありますか?
A4: 排尿の習慣を見直したり、体操を取り入れたりしてみましょう。
詳しい解説
日中の頻尿や、頻尿全般の対策として、以下のようなことを試してみてはいかがでしょうか。
- トイレに行く時間を決めてみる
- 尿意を感じてすぐにトイレに行くのではなく、少しだけ我慢する練習をしてみる(膀胱訓練)。例えば、最初は5分、慣れたら10分と、徐々に我慢する時間を延ばします。ただし、無理は禁物です。
- 逆に、尿意がなくても数時間おきにトイレに行く習慣をつける(定時排尿)。これは、尿がたまりすぎるのを防ぐのに役立ちます。
- どちらの方法が合うかは個人差がありますので、ご自身の体の調子を見ながら試してください。
- 骨盤底筋を鍛える体操をする
- 骨盤底筋は、尿や便を我慢したり、排泄したりする時に使う筋肉です。ここを鍛えることで、尿をためたり、漏らしたりするのを防ぐ効果が期待できます。
- 体操の方法:
- 座っていても、立っていても、寝ていてもできます。
- お腹やお尻の筋肉をリラックスさせます。
- 尿道や肛門をキュッと締めるように、骨盤底筋を意識して力を入れます。
- 5秒間力を入れたら、ゆっくりと力を抜きます。
- これを10回繰り返します。1日に数セット行うのがおすすめです。
- 誰かに見られても分からないような、簡単な動きです。
- 体を冷やさない
- 体が冷えると、トイレに行きたくなることがあります。特に冬場は、お腹や足元を温かくする工夫をしましょう。
- 食生活に気を配る
- 刺激物(唐辛子など)、カフェイン、アルコールは尿を増やしたり、膀胱を刺激したりすることがあります。摂りすぎに注意しましょう。
- 便秘も膀胱を圧迫して頻尿の原因となることがありますので、食物繊維をしっかり摂るなど、便通を整えることも大切です。
Q5: どんな時に病院へ行けば良いですか?
A5: 頻尿や夜間頻尿が続く場合や、他の症状がある場合は専門医に相談してください。
詳しい解説
頻尿や夜間頻尿は、加齢による変化だけでなく、何らかの病気が原因となっている可能性もあります。
- 頻尿や夜間頻尿が長く続いている場合
- ご自身で対策を試しても改善が見られない場合
- 排尿時に痛みがある、尿に血が混じる、急に強い尿意があるなどの他の症状がある場合
- トイレに行っても少量しか出ない、尿が出しにくい感じがある場合
- 頻尿によって日常生活や睡眠に大きな影響が出ている場合
このような場合は、一度、泌尿器科など専門の医療機関を受診することをおすすめします。原因をしっかり調べてもらい、適切なアドバイスや治療を受けることができます。一人で悩まず、まずは専門家にご相談ください。
まとめ
シニア世代の頻尿や夜間頻尿は、よくあるお悩みの一つです。年齢による体の変化が原因のこともありますが、病気が隠れている可能性もあります。
今回ご紹介したご自宅でできる対策を試してみることは有効ですが、症状が続く場合や気になることがある場合は、必ず専門医に相談してください。ご自身の体の状態を理解し、適切な対応をすることで、より快適な毎日を送ることができるでしょう。