夜中に目が覚める? シニアの睡眠トラブル、原因と生活の工夫
シニアの体と心の健康相談室です。
今回のテーマは「シニア世代の睡眠の悩み」です。 「夜中に何度も目が覚めてしまう」「一度目が覚めると眠れない」といった睡眠に関するお悩みを抱えている方がいらっしゃるかもしれません。 年齢とともに睡眠の質は変化すると言われています。なぜ眠りの悩みが起きやすいのか、そして、ご家庭でできる簡単な工夫についてお話しします。
Q1. なぜ年を取ると眠りが浅くなるのですか?
A1. 加齢による体の変化や、生活習慣が関係しています。
詳しい解説です。
年齢を重ねると、私たちの体の睡眠の仕組みが変わってきます。
- 眠りが浅くなる: 深い眠り(ノンレム睡眠という種類の眠りです)の時間が短くなり、浅い眠りが増えます。そのため、物音などで目が覚めやすくなります。
- 必要な睡眠時間が短くなる: 若い頃に比べて、体を休めるために必要な睡眠時間が少し短くなる傾向があります。
- 体内時計の変化: 朝早く目が覚めたり、夜早く眠くなったりと、生活リズム(体内時計)が前にずれることがあります。
これらに加え、次のような生活習慣や体の状態も眠りの悩みに影響することがあります。
- 夜中にトイレに行きたくなる
- 体の痛みやかゆみがある
- 日中の活動量が少ない
- 日中に長い時間お昼寝をする
- 寝る前にカフェイン(コーヒーや紅茶など)やアルコールを摂る
- 寝る直前に明るい光(テレビやスマートフォンの画面など)を見る
- 今後の生活などについて悩み事や心配事がある
- 服用している薬の影響
これらの要因がいくつか重なって、夜中に目が覚めてしまったり、眠りにつきにくくなったりすることがあります。
Q2. よく眠るために、自分でできることはありますか?
A2. いくつか簡単な生活習慣を見直してみましょう。
ご家庭で試せる工夫をいくつかご紹介します。
まず、普段の生活リズムを整えることから始めてみましょう。
- 起きる時間を一定にする: 毎日同じ時間に起きるように心がけてください。休日も平日と同じくらいの時間に起きると、体のリズムが崩れにくくなります。
- 朝起きたら日光を浴びる: 窓を開けたり、カーテンを開けたりして、朝の光を浴びましょう。これは体内時計を整えるのに役立ちます。
- 日中に適度に体を動かす: 散歩や軽い体操など、無理のない範囲で体を動かす時間を作りましょう。体を動かすと、夜に眠りやすくなります。ただし、寝る直前の激しい運動は避けてください。
次に、眠る前の習慣を見直してみましょう。
- 寝る前にカフェインやアルコールを避ける: コーヒー、紅茶、緑茶に含まれるカフェインや、アルコールは眠りを妨げることがあります。夕食後や寝る前は控えるのがおすすめです。
- 寝る前はリラックスする: 就寝前にぬるめのお湯(38℃~40℃くらい)にゆっくり浸かるのはおすすめです。また、静かな音楽を聴いたり、本を読んだりして、ゆったり過ごしましょう。
- 寝る直前の明るい光を避ける: 寝る前にテレビやスマートフォンの明るい画面を見ると、目が覚めてしまうことがあります。眠る1時間くらい前からは見ないようにするのがおすすめです。
- 寝室の環境を整える: 寝室は、暗すぎず明るすぎず、快適な温度(一般的に夏は25~28℃、冬は18~22℃)に保つようにしましょう。音も静かな方が眠りやすいです。
その他にも、次のような点に注意してみましょう。
- お昼寝は短めに: 長すぎるお昼寝(特に午後の遅い時間や1時間以上)は、夜の眠りを浅くすることがあります。もしお昼寝をするなら、20~30分程度に留めるのが良いでしょう。
- 眠れないときは無理に布団の中にいない: 眠れないまま布団の中に長くいると、「布団=眠れない場所」というイメージがついてしまうことがあります。15~20分経っても眠れない場合は、一度布団から出て、静かに過ごし、眠気を感じたら再び布団に戻るようにしましょう。
これらの工夫をすぐに全て行うのは難しいかもしれません。できることから一つずつ試してみてください。
Q3. どんな場合に専門家に相談すべきですか?
A3. ご自身で工夫しても改善しない場合や、日中の生活に支障が出ている場合は、専門医に相談してください。
詳しい解説です。
「夜中に目が覚める」「眠れない」といった悩みが、ご自身で生活習慣を工夫しても改善しない場合や、以下のような状態が続いている場合は、医師に相談することをおすすめします。
- 眠れない日が続き、つらいと感じる
- 日中も強い眠気があり、活動に支障が出ている
- 集中力が続かない、物忘れが多くなったと感じる
- 気分が落ち込んだり、イライラしたりすることが増えた
- 体がだるく、疲れがとれない
これらの症状は、睡眠のトラブルだけでなく、他の病気が原因で起きている可能性も考えられます。
どのような状態か、いつから続いているかなどをメモして、かかりつけ医や睡眠を専門とする医療機関に相談してみましょう。専門家が原因を調べ、適切なアドバイスや治療法を提案してくれます。
まとめ
シニア世代の睡眠の悩みは、加齢による体の変化や日々の生活習慣が関係していることが多いです。
まずは、起きる時間を決める、日中に体を動かす、寝る前にリラックスするなど、できる範囲で生活習慣を見直してみましょう。
もし、自分で工夫しても眠りの悩みが続いたり、日中の生活に影響が出ている場合は、迷わず医師に相談することが大切です。専門家の助けを借りながら、より良い睡眠を目指しましょう。
この情報が、皆様の健康維持の一助となれば幸いです。