味が薄く感じる? シニアの味覚の変化、原因と自分でできる対策
いつもおいしく食べていたものが、なんだか味が薄くなった、しょっぱく感じる、苦く感じるなど、以前と違うように感じることはありませんか。味覚は、食べ物や飲み物を味わうためにとても大切です。年を重ねると、味覚に変化が起こることがあります。
ここでは、シニア世代に起こりやすい味覚の変化について、その原因や自分でできる対策をQ&A形式で分かりやすくご説明します。
Q1: 年をとると、なぜ味覚が変わることがあるのですか?
A: 年齢による体の変化や、さまざまな理由で味覚が変わることがあります。
詳しい解説: 味覚が変わる理由
味覚は、舌にある「味蕾(みらい)」という小さな器官で感じ取られます。味蕾は、甘い、しょっぱい、酸っぱい、苦い、うま味といった基本的な味を感じるセンサーのようなものです。
年を重ねると、この味蕾の数が減ったり、働きが少し弱くなったりすることがあります。これが、味が薄く感じるなど、味覚の変化の一つの原因と考えられています。
しかし、味覚の変化は加齢だけが原因ではありません。次のようなさまざまな理由で起こる場合があります。
- お薬の影響: 飲んでいるお薬の種類によっては、味覚に影響を与えることがあります。
- 病気: 風邪や鼻炎で鼻がつまっているとき、口の中の病気(歯周病や口内炎)、胃腸の病気、糖尿病、腎臓の病気などが原因となることもあります。
- 栄養不足: 体に必要な栄養素、特に亜鉛(あえん)というミネラルが不足すると、味蕾の働きが悪くなり、味覚が変わることがあります。
- 口の中の乾燥(ドライマウス): だ液が減ると、食べ物の味が舌に伝わりにくくなり、味覚に影響が出ることがあります。(「口がカラカラする? シニアのドライマウス、原因と自分でできること」の記事も参考にしてください)
- 入れ歯: 合わない入れ歯や、入れ歯の下に食べかすが挟まることなどが影響する場合もあります。
Q2: 味覚の変化に対して、自分でできることはありますか?
A: 食事を工夫したり、口の中を清潔に保ったりすることが大切です。
詳しい解説: 日常生活でできる対策
味が感じにくくなると、食事の楽しみが減ったり、濃い味付けにしてしまうことで塩分や糖分をとりすぎてしまったりすることが心配されます。自分でできる工夫をいくつかご紹介します。
- 食事の味付けを工夫する:
- だしのうま味を活かすと、塩分を控えめでも美味しく感じやすくなります。かつおだしや昆布だしなどを活用しましょう。
- レモンやすだちなどの柑橘類、お酢の酸味、しょうがやみょうが、香味野菜(パセリ、シソなど)の香り、カレー粉や唐辛子などの香辛料を使うと、味のアクセントになり、薄味でも満足感を得やすくなります。
- 料理の盛り付けを工夫して、見た目も楽しめるようにすると、食欲が増しやすくなります。
- 口の中を清潔に保つ:
- 毎食後にていねいに歯磨きをしましょう。
- 舌の表面に白い苔のようなもの(舌苔:ぜったい)がついていると、味を感じにくくなることがあります。やわらかい舌ブラシや、ガーゼなどを使い、優しく手前にかき出すようにして掃除しましょう。強くこすりすぎないように注意してください。
- 入れ歯を使っている場合は、毎日の清掃をしっかり行い、合っているかどうかも確認しましょう。
- バランスの良い食事を心がける:
- 亜鉛は、カキ、牛肉、豚レバー、チーズ、大豆製品などに多く含まれます。特定の栄養素だけをたくさんとるのではなく、いろいろな食品を組み合わせて、バランス良く食事をすることが大切です。栄養状態について心配な場合は、医師や栄養士に相談してみましょう。
- 禁煙: たばこは味覚に悪影響を与えることが知られています。禁煙することで味覚が改善することがあります。
Q3: どんな場合に専門家に相談した方が良いですか?
A: 味覚の変化が長く続く場合や、他の気になる症状がある場合は、専門家に相談することが大切です。
詳しい解説: 専門医への相談について
味覚の変化は、単純な加齢だけでなく、病気や薬の影響など、様々な原因が考えられます。
- 自分で対策を試しても改善しない場合
- 味覚の変化とともに、口の中の痛みや乾燥、舌のしびれなどの別の症状がある場合
- 飲んでいるお薬を変えてから味覚の変化を感じるようになった場合
- 食事がおいしくなくなり、食欲が落ちて体重が減ってきた場合
このような場合は、一度専門医に相談することをおすすめします。
耳鼻咽喉科(じびいんこうか)は味覚を専門に診る場合が多いですが、原因によっては、かかりつけの内科医や歯科医に相談してみるのも良いでしょう。医師は、味覚の変化の原因を調べ、適切なアドバイスや治療を提案してくれます。
まとめ
年を重ねると味覚に変化が起こることがありますが、その原因は加齢だけではなく、様々な理由が考えられます。食事の工夫や口の中のケアなど、日常生活でできる対策もあります。
味覚の変化が続いたり、他の症状があったりして心配な場合は、自己判断せず、必ず専門医に相談してください。適切な対応をすることで、再び食事を楽しく味わえるようになる可能性もあります。