立ち上がるとクラッとする? シニアの立ちくらみ、原因と自分でできる対策
立ち上がるとクラッとする? シニアの立ちくらみ、原因と自分でできる対策
「座っていたり寝ていたりした状態から立ち上がろうとした時、目の前が暗くなったり、ふわっとしたりする」
このような経験はありますでしょうか。これは「立ちくらみ」と呼ばれる症状かもしれません。立ちくらみはシニア世代の方によく見られる症状の一つです。
今回は、シニアの立ちくらみについて、その原因や、ご自身でできる生活の中での対策をご紹介します。
Q1: 立ち上がった時にクラッとします。これは立ちくらみでしょうか?
A1: はい、それは立ちくらみの可能性があります。
詳しい解説
立ちくらみとは、座った姿勢や寝た姿勢から急に立ち上がった時に、短時間ですが目の前が暗くなったり、ぼんやりしたり、ふらついたりする症状のことです。人によっては、少し気持ちが悪くなったり、冷や汗が出たりすることもあります。
この症状は、急に立ち上がった際に、脳への血の巡りが一時的に悪くなることで起こります。医学的には「起立性低血圧(きりつせい ていけつあつ)」という状態が原因の一つとして考えられます。
- めまいとの違いは? 立ちくらみは「ふわっとする」「目の前が暗くなる」といった症状が中心です。一方、「めまい」は、「自分や周囲がぐるぐる回っているように感じる」症状(回転性めまい)や、「体がぐらぐら揺れるように感じる」症状(浮動性めまい)など、種類があります。立ちくらみは、めまいの中でも特に立ち上がった時に起こりやすい、特定のタイプと考えられます。
Q2: なぜ立ちくらみが起きるのですか?
A2: 主な原因は血圧の変化などいくつか考えられます。
詳しい解説
立ちくらみの原因は一つだけではありません。シニア世代の方の場合、以下のような原因が考えられます。
- 起立性低血圧 これが最も一般的な原因です。寝ている時や座っている時は、重力の影響で体の下の方に血液が溜まりやすくなっています。立ち上がる時は、本来なら血管が縮んで血圧を保ち、血液が脳までしっかり流れるように体が調整します。しかし、この調整がうまくいかないと、立ち上がった瞬間に一時的に血圧が下がり、脳に送られる血液が減って立ちくらみが起こります。加齢によって血管の弾力性が失われることなども影響することがあります。
- 水分不足(脱水) 体の水分が足りないと、血液の量が減ります。血液の量が少ないと、立ち上がった時に脳へ送られる血液がさらに不足しやすくなります。特に暑い時や、トイレに行くのを我慢しすぎた時などに起こりやすくなります。
- 薬の副作用 血圧を下げる薬や、精神に関わる薬、おしっこを出す薬(利尿薬)など、特定の種類の薬が立ちくらみを引き起こすことがあります。
- 貧血 血液中の赤血球が少なくなり、酸素を運ぶ力が弱くなると、脳が酸素不足になり立ちくらみを起こすことがあります。
- 病気の影響 糖尿病やパーキンソン病など、自律神経(体の働きを自動的に調整する神経)に影響を与える病気が原因で、血圧の調整がうまくいかなくなることがあります。
- 長い間寝ていた後 病気などで長い間ベッドで寝ていた後などに、体が立ち上がる動作に慣れていないために起こることもあります。
Q3: 立ちくらみを防ぐために、自分でできることはありますか?
A3: 日常生活でいくつか工夫できることがあります。
詳しい解説
立ちくらみの原因によっては、日常生活の中で症状を和らげたり、予防したりするための工夫ができます。すぐにでも試せる方法をいくつかご紹介します。
- ゆっくり立ち上がる
これが一番大切で、最も簡単な対策です。
- 寝ている状態から起き上がる時は、まず体を横向きにします。
- 腕で体を支えながら、ゆっくりと体を起こし、ベッドの端に座ります。
- 足元を見ながら、数秒から数十秒、そのまま座って様子を見ます。
- 立ちくらみやふらつきがなければ、ゆっくりと立ち上がります。 座っている状態から立ち上がる時も、一度椅子に浅く腰掛け直したり、手すりや机に手をついたりして、ゆっくりと立ち上がるように心がけましょう。
- 水分をこまめに摂る 一度にたくさん飲むのではなく、少量ずつ、一日に何度かに分けてお茶や水を飲みましょう。ただし、医師から水分の制限を受けている場合は、その指示に従ってください。
- バランスの良い食事 栄養バランスの取れた食事は、体全体の調子を整えるのに役立ちます。特に、極端な食事制限は避けましょう。
- 適度な運動をする 無理のない範囲で、ふくらはぎなど足の筋肉を使う運動を取り入れると、足に溜まりやすい血液を心臓に戻すのを助ける効果が期待できます。例えば、座ったままでもできる足首の上げ下ろし運動や、ふくらはぎを軽く揉むマッサージなどがあります。
- 寝る時に頭を少し高くする 枕を少し高くしたり、上半身の下に毛布などを敷いたりして、寝る時の体の傾斜をつけると、夜間の血圧の変動を和らげるのに役立つ場合があります。
- 長時間の立ちっぱなしを避ける 長い時間立っていると、足に血液が溜まりやすくなります。途中で座ったり、足踏みをしたりして、同じ姿勢を続けないようにしましょう。
Q4: 立ちくらみが続く場合、どうすれば良いですか?
A4: 症状が続く場合は、必ず医師に相談してください。
詳しい解説
「自分でできる対策を試しても立ちくらみが良くならない」「立ちくらみの頻度が増えた」「立ちくらみで転んでしまいそうになった」など、症状が続く場合や、心配な場合は、自己判断せずに必ず医療機関を受診してください。
立ちくらみの原因には、ご自身で対処できるものだけでなく、医療的な診断や治療が必要な病気が隠れている可能性もあります。
- 何科を受診すれば良い? まずは、かかりつけ医や内科を受診するのが良いでしょう。必要に応じて、専門の科(循環器内科や神経内科など)を紹介してもらえることがあります。
- 医師に伝えること 診察を受ける際は、立ちくらみが「いつ」「どのような時(例: 立ち上がった時、食後など)」「どのくらいの頻度で」起こるか、他に気になる症状(例: 動悸、息切れ、手足のしびれなど)はないか、現在どのような病気で治療を受けているか、飲んでいる薬はあるか、などを詳しく伝えられるように準備しておくと、スムーズな診療に繋がります。お薬手帳があれば持参しましょう。
まとめ
シニア世代の立ちくらみは、加齢による体の変化や、様々な原因で起こる可能性があります。多くの場合、ゆっくり立ち上がるなど、日々の生活の中で少し工夫することで症状が和らぐことが期待できます。
しかし、立ちくらみが頻繁に起こったり、他の症状を伴ったりする場合は、何か別の病気が原因になっている可能性も考えられます。ご自身だけで悩まず、早めに専門医に相談することが大切です。
この記事が、立ちくらみでお悩みの方の参考になれば幸いです。